【前日会見】ジダンがイスコに”厳しいワケ” その背景にある2人のシンクロキャリアとは?

ラス・パルマス戦の前日会見にて

リーガ・エスパニョーラ第30節、アウェイにて開催されるラス・パルマス戦を前にしてレアル・マドリード指揮官ジネディーヌ・ジダンは会見に出席。

彼がイスコ・アラルコンに関する質問を避けて通れないことなど、あらゆる人間が承知している。

なぜならスペイン人の期待を担う魔術師はアルゼンチン代表を相手に圧巻のハットトリックを達成し、その随所で並外れたクオリティーを披露。しかし、一方で白いシャツを纏う時間は常に限られたものだからだ。

ジネディーヌ・ジダンの言葉

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「イスコへの扱い? 私が彼を不公平に扱っているなどということはありえない。イスコはハッピーだし、おそらく彼がこのチームで背負っている役割は代表と同じものではないね。ただ、私は彼に対して、チームにとって重要であることを示している」

「アルゼンチン戦? あの試合でのイスコの活躍は私にとっても幸せなことだよ」

ーーーー ラス・パルマスとの一戦において、マドリーはすべての人間が“カナリアアイランド”へ渡航するわけではない。ジズーはそのメンバー構成についても説明した。

「イスコとセルヒオ・ラモスは少し問題を抱えていたので帯同はしない。残りの者は明日見られることになるだろう」

ーーーー マンチェスター・シティが巨額の資金でイスコに関心を示しているというニュースがあるが

「私がイスコに関して言えるのは、彼に常に決定権があるということだ。問題はイスコにあるのではなく、25人もいる中で11人しかプレイできないという事実にある。私はイスコに満足しているし、チームのために動くプレイヤーのことをいつも見ている」

「イスコは今マドリードにいるし、今後もそうだろう。これは決定事項だ。彼のようなプレイヤーが好きだし、ここで良くやっているよ」

ーーーー あなたは今後もレアル・マドリードを指揮するのか?

「あぁ、私はレアルで指揮を執り続けたい。希望はそうだが、皆さんもフットボールの世界がどのようなものかご存知だろう。今はその話題について話す時ではない。我々の歩むべき道について専念する必要があるし、後半戦はうまくやれている。明日の試合はタフなものになるだろう」

「私の願いはできるだけ長くここにいることだし、それは何度も言ってきた。マドリーでそれを叶えるには何よりも結果が求められるんだ。私はこのクラブにもう18年もいるし、レアル・マドリードがどのようなものかも知っている。今の仕事が好きだし、本当にここで続けたい」

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考察

大方の予想通り、「イスコに関する釈明会見」のようなテイストになりました。

スポーツの世界は残酷なもので、監督がスタメンで起用していない選手が他の環境で活躍したりしてしまうと、

「あの監督は何やってたの?」

となります。

ジダンは、本音ではアルゼンチン戦のイスコのパフォーマンスは少し頭が痛くなったでしょう。

レアル・マドリードでイスコが輝けないのは、ジダンの指示通りに動いていないからなのか、もしくは単純にジダンの指示が的外れなものなのか。

それは定かではないですが、メディアは意地悪な書き方をします。

「なぜイスコはロペテギの下では輝くのに、ジダンの下では輝かないのか?」と。

まるでジダンの監督としての能力に問題があるかのように。

しかもイスコの試合後のコメントもジダンにとっては“カンに触る”ものだったかもしれません。

「ロペテギは僕にとって必要な自信や信頼を与えてくれる」

これは誰かへのクレームと解釈されてもおかしくないですからね。

ジダンはこのコメントを心地良く聞いていたとは思えません。

ジダンがイスコにみる、“かつての自分の姿”

そもそもジダンがイスコに対して当たりが強いように思えてしまうのは、彼自身がレアル・マドリード加入当初、ものすごく適応に苦しんだという事実があるからでしょう。

ジダンは「ザ・トップ下」という立場で、しかも当時の史上最高額でマドリーにやってきましたが、マドリーはジダンを4-5-1、もしくは4-4-2の左サイドで彼を起用し続けました。

リーガデビューして間もない頃はほとんど活躍することなく、現地マドリディスタは「これがジネディーヌ・ジダンなのか!?」と驚愕させられた背景があります。

当時のマドリーの基本フォーメーションは4-5-1でセカンドトップにはラウール・ゴンザレスが陣取り、2トップになったり、下がり目にプレイしたりと、器用に可変式の陣形を構成していました。

おそらく当時のジダンはまるでイスコのような感覚に陥ったはず。

「俺のためにトップ下のポジションを作ってくれないのか……」

ですが、いじけることなく、ジダンはサンティアゴ・ベルナベウの左サイドを主戦場とし、翌年の春には伝説的なボレーシュートでチャンピオンズリーグの歴史を変えました。

おそらくジダンがイスコやハメス・ロドリゲスに求めているのは、このような適応力や逆境におけるタフネスでしょう。

「俺だって苦労した。お前らはもう愚痴か?」

こんな気持ちなんじゃないでしょうか。よくジダンはハメスにも厳しいと揶揄されてましたが、彼もまた典型的なトップ下のプレイヤーで現代フットボールのフォーメーションにはピタリとハマる場所は存在しません。自分で作り出す必要があるでしょう。

というか、ジダンはイスコに歩み寄りの姿勢は十分に示しましたよ。ダイヤモンド型のフォーメーションによる恩恵を受けたのは他でもなくイスコ自身です。

ダイヤモンド型というのはトップ下にとっては素晴らしく誇り高い型であり、2003-2009シーズンまでカカーがミランで輝いていた時のフォーメーションと同じもの。

でもイスコがジダンの理想通りのプレイで期待に応えたかといえば、微妙なものでしたよ。

それでたまたまアルゼンチン戦で大活躍したからといって、“ジダンの采配はどうなのか!?”といったメディアの風潮は納得がいかないでしょうね。

ジダンとイスコの関係性、これはもしかしたら周囲の想像する以上に根深いものかもしれないです。

【筆者の略歴とプロフィール】

2000年より愛し続けるレアル・マドリードへの情熱が高まり、サッカーライターとして複数の国内著名サッカーメディアや大手出版社へ記事を寄稿。ヨーロッパのあらゆるスポーツメディア媒体への取材を通し、常に国内の「他媒体が報じていないニュース」の掲載を心掛ける。

尚、現在は芸能やエンターテイメントの分野にも手を広げ、浮気気味の模様。また、某著名サッカー解説家で赤いチームを愛するアノ雑誌編集者・ジャーナリストから「生意気だ」と電話で説教された過去は大きな黒歴史である。

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